病室の年末

2009年12月の末、看護士より在宅に向け介護保険を早く申請した方がよいと告げられました。介護保険は認可が下りるまで2ヶ月くらいかかるので早目に申し込んで欲しいとのことでしたが、体調の不安定なこんな段階でもう在宅なのかとびっくり戸惑いを覚えました。
入院して3ヶ月で退院させられる、九州厚生年金病院で執刀医から脳の病気は劇的な回復はないので月単位での回復をみて欲しいと言われて以来微々たる回復しかみられない、あと2ヶ月でどれほどの回復が見込めるのだろうか。戸惑いましたが実際の介護保険申請は具体的な方法を知らないのでまだそのままにしておきました。

病室は寒い日、雪が舞う日でも暑い室温でした。温度計を持って来て計ると29℃あります。窓を開けて調整しようにも窓は15cmくらいしか開かないようにロック機構がありました。その15cmを開けていても29℃あり暑いのです。看護士に聞くと4人分4台の人工呼吸器の熱だそうでした。夏は逆に寒くなるそうです、それって人工呼吸器のせいではないのでは?

年末も押し詰まったころ4人部屋の2つのベットが続けて空になりました。年末年始を自宅で過すために帰宅したのかと思い若い看護士に尋ねると「亡くなりました」と素っ気なく答えがかえってき、私は言葉を失ってしまった。

年末年始の休みになると病院スタッフの数は目に見えて減り、面会時間の終りころ7時ころになるとスタッフの姿が見えず控室の少し開いたドアからはしゃぎ声が聞こえてきます。病室のテレビを使うカードが切れ、カード販売機は千円札しか使用できず手持が百円玉しかなかったので交換をしたくて大声で呼ぶとやっと出て来て不機嫌な顔で替えてくれました。
病室の患者には人工呼吸器の管をよく外す患者がいたりするのに、背筋が寒くなりました。妻は痰が出ていて時々吸引しなければいけないのに面会できない夜間は大丈夫だろうかと不安を覚えました。

空いたベットも年が明けるとすぐ人工呼吸器を使う新しい患者が入ってきました。

調子が良い時、遠方に健在の彼女の「お父さんに見せるから笑って」と言って笑ってもらて撮影しました。
転院してから顔がいつも右向きになりました。麻痺のためでしょうか。